拝啓 奈良シカマル様 降り続く長雨に、日の光が恋しい季節ですが、元気でお過ごしでしょうか。 私は元気、だといいですね。 さて、あなたがこの手紙を読んでいるということは、きっと既に私は死んでいるのでしょうね。残念です。でも、多分後悔はしていないと思います。だから安心してください。未練がましくこの世に留まったり、化けて出たりするなんてことはしませんから。 まあ、そんなことは置いといて、本題に入ろうかと思います。 まず、暗部のことですが、総隊長はシカマル、副長はナルト、医療班長はサクラにお願いしたいと思っています。あとできれば、できればだけど、暗号解析班もあなたに任せたいと思っています。忙しくなると思うけれど、身体に気をつけて頑張ってください。5代目には既に話しはしてあります。いつ死んでも大丈夫なように口うるさく言ってあったので心配いりません。 それから、私の私物や研究していたものについてですが、私に関する一切のものは全て処分してください。戸籍はもともとないので大丈夫です。私が存在していたという証拠が一切残らないように厳密にお願いします。 用件はこの2つだけです。ナルトやサクラ、他のみんなにもよろしくお伝えください。めんどくせー、とか言って仕事サボッたりしたら、その時は例外に化けて出てきてやるので覚悟しなさい。 それと、これは今さら言うことでもないのだろうけど、私はあなたのことが好きでした。だから、あなたが私のことを好きだと言ったときとても驚きました。もうあなたに会えなくなるのかと思うと、とても残念でなりません。もし、生まれ変わったならもう一度シカマルのそばにいたいなあ、と思うのだけれどあなたの方はどうですか?迷惑じゃあ、ないですか?迷惑でも押しかけてしまったらごめんなさい。 小さい頃から暗部にいて、汚い世界や醜い世界ばかり見てきて、酷く自分を嫌ったこともあったけれど、私はあなたや皆に出会ってから変われたような気がします。何が変わったのか聞かれても具体的に言うことはできないのだけれど、なんとなく、世界が明るくなったような広くなったような、そんな感じがするんです。私は皆から色んなものを貰ってばかりで返すことが出来ませんでした。そこはちょっと、否、とても後悔しています。 さて、まだ言いたいことは沢山あるのだけれど、もう任務の時間のようです。できることなら、あなたがこの手紙を見ることなく無事に帰ってきたいです。二度目になりますが、本当に身体には気をつけて、みんなで元気にお過ごしください。元暗部の総隊長としてこんなことを言うのもどうかと思うのだけれど、この世から、暗部も、忍もいなくなり、平和で美しい世界になることを心から願っています。あなたや皆が人を殺したり、人に殺されたりするような世界が早く消えてしまうことを心から願っています。そして、そんな世界に生まれ変わり、またあなたに会えたら良いと心から想っています。 どうか笑って見送ってください。それが私の救いです。 短い間だったけれど今まで本当にありがとう。またね。 敬具 |
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(08.06.22)