紙葬
 
前略 
梅雨も明け、初夏の日差しが強くなってきた今日この頃、元気にお過ごしですか。
死後に元気も何もあるのかは分からないけど、こっちは何とか頑張っています。

本当に頑張っています。

単刀直入に言おう。忙しすぎだ、この阿呆。そのうち過労でぶっ倒れるんじゃないかと毎日思っています。さすがに総隊長兼暗号解析班はきつすぎます。お前、こうなること分かってて頼んだんじゃないだろうな。もし過労死したら一発殴りに行くから覚悟しておきなさい。
まあ、それはさておき。俺の側に居たいだの、今度は自分から先に気持ちを伝えるんだだの言ってた割には全然姿を現さないのはどういうことなんでしょうか。俺はそんなに気が長いわけではないので、あんまり現れないと他の人の方に行ってしまうかもしれませんね。それが嫌だったらさっさと出て来い。
正直言ってしんどいんだよ。忙しいとか、そういうのだけじゃなくてさ。でも、お前の顔見たらなんとかなる気がすんだよ。だから、本当早く帰ってこいよな。つうか、こんなこと書くのすっげー恥ずかしいんだからな。俺にここまでさせたんだから絶対に出て来いよ。
まだお前の望むような世界は訪れそうも無いけど、だけど、皆元気にやってるよ。決して平和ではないかもしれないけど、ちゃんと幸せはあるからよ。

奈良シカマル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





書いた手紙をどうやって届けようか、とボーっとする頭で考える。燃やして灰にして飛ばしたら届くんじゃないだろうか、なんて本気で考えている俺は忙しさで頭がゆるくなってきたのかもしれない。それでも結局することもなかったので火遁の術で手紙に火をつけた。崩れ落ちてゆく手紙を見ながら、はこの手紙を見てどんな顔をするのだろう、と考えていた。
きっとにこにこと笑っているといい、と心から思う。

 

 

 

 

 


いつまでも待っていよう

 

 

(08.06.23)