「アーサーくん、アーサーくん。クリスマスは何の日か知っていますか?」 昼休み、ボーッとしていると隣の席から急に話しかけられた。 「何の日って・・・キリストの誕生日、だっけ?」 「でしょー。そう思うでしょう。でもね、実はクリスマスってキリスト関係ないんだってー。」 ケタケタと笑うを、目を細めて見る。一体何がそんなに可笑しいのか。クリスマスなんて恋人がいない俺にとっては、全然関係の無いイベントだ。一瞬俺をからかいに来たのかとも思ったが、確かコイツも彼氏なんていなかった気がする。 「へー。それで?」 「うん、それでね。アーサーくんはクリスマスの予定はございますか?」 にこにこと聞かれたその質問にイライラしつつも、特にねーよと答えた。するとはますます笑顔になって、それは良かった!などと失礼極まりないことを言いやがった。何がいいのかこれっぽっちも理解できない。 「どういう意味だよ。」 俺は眉間の皺をMAXにして尋ねた。返答次第では今年いっぱい縁を切るつもりである。 「じゃあ、そんなアーサーくんに素敵な提案です。クリスマスをあたしと過ごしてみませんか?きっとすごく楽しいよ。いかがなさいますか?」 にっこりと笑ったの顔と、差し伸べられた手をしばらく見つめた。だんだん頭がはっきりしてきて、の言葉が何度も頭の中に流れる。え、それって、え、まじで、いやでも違うかも、え? は口をパクパクさせている俺の手を握って、満面の笑みを浮かべた。 「お正月には一緒に初詣コースもございますよ。」 ああ、キリスト様、どうやら俺は不本意にもこの可笑しな女に惚れてしまったようです。俺は見事にコイツの罠にはまりました。 「ぜひよろしくお願いします・・・」
幸福ユーゲント
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