「きらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらい」 ソファの上にうずくまって一向に顔をあげてくれないを、どうしたものかと思いながら暫らく眺めていたが、だんだんと「きらい」という言葉がぼやけて涙声になってきたので私は慌ててのそばへ近寄った。そっと肩に触れてやろうとしたら、力の入っていない手でペシ、とはたかれた。「雷光さ、んなん・・・て、きら・・・っいです、」嗚咽をかみ殺して、肩をふるふると震わせながら言ったその言葉に、私はまたどうしたものか、と思った。 初めは話す気なんて無かった。清水家のことも雷鳴のことも私自身のことも、全部には関係の無いことだったし、何より私自身の問題でもあったから。けれど、あまりにいつもと違って執拗に尋ねてくるに仕方なく話してしまった。 いや、のせいではない。きっと私が弱ったからだ。誰かに知っていてもらいたいと言う甘えがあったからだ。ああ、なんて愚かしい。私は自分のためにを傷つけてしまったのだ。 「、すまないね。」 私が謝ると、はスッと顔を上げた。やはりその顔は涙で濡れていた。目は充血して腫れていたが、私の方をジッと真っ直ぐに見つめてきた。 「雷光さん、は・・・ひど、いです。全部っ・・・一人で抱え込ん、で。辛かっ・・・たんでしょ、う?」 途切れ途切れになりながらも必死に話すを見て私は目尻が熱くなった。ああ、この子は私のために泣いてくれていたのか。君を傷つけてしまった私のために。泣かなくていいのに。私は君に想ってもらう価値などありはしないのに。そうやって君が優しいから、私はまた君に甘えてしまうんだよ。 「ごめんよ、。やはり君に話すべきではなかったね。」 「ど・・・して、ですか。」 私は彼女の柔らかな髪を撫でて微笑んだ。 「だって、君が泣いてしまうでしょう?」 |