息もできないほど苦しい。 これだけ見たらなんだかまるで私が恋でもしてる女の子みたいだ。でも残念、実際は任務に失敗して、相手の渾身の一撃を受けて死にかけているだけである。いや違うな。任務には成功した。ナルトとのツーマンセルの任務で、大事な巻物も手に入れて、よし帰るぞーってとこに何処から任務情報が漏れたのか、九尾を狙う他里の忍がわらわらと現れたのだ。いくらナルトや私が強くても数の差は埋められなかった。相手もかなり計画を練っていたのだろう。チームワークは抜群、敵ながらあっぱれ。任務の疲れもあり、敵に殺されかけたナルトを、まあ私が庇った…と。その後ナルトが必死に戦い敵が少なくなったところで、敵の方がこれではまずいと思ったんだろう、退散していった。そんなに頑張れるなら私が庇わなきゃいけないような状態になる前にもっと頑張ってほしかったよ!とか愚痴りたいところだが、後半全く役に立たなかった私を庇いながら戦ってくれたのでまあよしとしよう。いやしかし、本当に呼吸をするだけで苦しい。 自分もかなりボロボロなくせに、すごい勢いで私のもとへ駆けつけたナルトの顔が一気に青褪めていくのが分かった。これじゃあどっちが怪我人だかわからないじゃないの、なんてねふははh…いたいいたいいたいすみません調子に乗りました。 「お、前…何笑ってんだよ。死にかけのくせに。」 「はは…」 だって笑えるじゃないの、こんなの。だってだって聞いてくださいよ。私ったらさっきまで巻物を無事ゲットできたことにうかれて、里に帰ったら何しようかなーとか考えてたんですよ。任務報告なんて適当にちゃっちゃと終わらせて、お家に帰って二人でご飯を食べて。ああ、ナルトが一楽がいいって言ったらもちろんそっちでもいいなとか、明日はお休みだからお昼くらいまで二人でごろごろして午後は仲良く買い物に行こうとか。あ、もちろん君は荷物持ちだよ、ふふん。みたいなね!それがこの有り様なわけだからもう泣きたくなるよね。遠足は帰るまでが遠足なのね、任務は里に帰って報告するまでが任務なのね!まあ、そんなこと今言っても意味ないんだけどね。だってほら、もう体中が悲鳴をあげてて何処が痛いのかも分からない始末だし、手とか足とか感覚が無くなっていってるのが分かりますし。ああ、今まで漠然としか考えたことなかったけど、考えたくもなかったけど、こんなかたちでお別れのようですね、いやまいった。あ、でも、でもね 「死ぬのが、ナルトの方じゃなくて良かったなあ…。」 「…は…お前、ほんと…馬鹿じゃねーの…」 いやあ人を罵りながら泣くなんて器用ですねーナルト君。泣かなくていいんだよ。そりゃ私だってずっと二人で居たいな、なんて思ってたけどね、でもこの世界にいたらきっといつかこうなるんじゃないかって思ってた。それはきっと忍みんなが思ってることだろうけど。でも、もしそうなるとしても何かを残していきたいって思ってた。何も出来ずに終わるのは嫌だと思ってた。だから最後にきみを守って終われて良かったよ。きみの未来を守れて良かったよ。 「あー最後にナルトの笑った顔がみたいなあ…」 「…っ!最後ってなんだよ…馬鹿野郎…」 あーまた馬鹿って言った。ひどいなあ、もう。でも仕方ないじゃない。だって 馬鹿は死ななきゃ治らないもの |