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窓辺に飾っていた花が枯れてしまったため新しいのに取り替えていた。花瓶の水を捨てて部屋に戻ってくると、ベッドに座っているナルトが
「ありがとうございます、さん。」
とてもきれいな笑顔でそう言った。わたしもそれに笑って返そうとしたけれど、自然に笑うことなど出来なくて、ぎこちない笑みをうかべて突っ立っていた。今、顔の力をゆるめてしまったら涙が止まらなくなってしまう気がした。つくり笑いでも、泣いてしまうよりはましだ。だって彼はそれがつくり笑いだとは気付かない。今はもう気付けない。綺麗に微笑む顔も声も姿も、何も変わってはいないのに。それでもナルトはどこかへ行ってしまったのだ。わたしの知っているナルトはもういない。わたしのことを知っているナルトはもういない。
「あの、さん・・・?」
ナルトはわたしを見て困った顔をしている。どうやらわたしは結局泣いてしまったようだ。さん、またナルトがわたしの名前を呼ぶ。 やめてくれ。 そんな呼びかたをしないで。前みたいに呼んで。あのお日様みたいな笑顔で「」と。わたしだけが一方的に知ってるだなんてあんまりだ。ナルトと過ごしてきた日々は紛れも無い本物で、わたしの記憶にちゃんとあるのに。どうしてきみは忘れてしまったの。 さん、 呼び方も話し方も変わってしまったのに、もう前のきみではないのに、そんな風に泣いたわたしを前にしたときの困った顔がちっとも変わっていないから、   わたしはまたきみの名前を呼んで泣くの。
二度目のピアチューレ