例えばほら、今きみが目の前の人間を殺しているときでさえ、その後姿をいとしいと思うし、うつくしいと思うんだよ。 おかしいかな。 そう言うときみは悲しそうにほほえむから、あたしはまたそれをきれいだとか、かわいいだとか思うんだよ。 真っ赤に染まった死体と青白い月と返り血ひとつあびていないきみの綺麗な横顔が、どうしようもないくらい愛おしいんだよ。 きみのその蒼い瞳にうつっているってそれだけでしあわせになれるんだよ。 そうやって面をはずしてほほえむのも、ほかの人の前とはちがうきみが見れるのも、あたしだけだって、それがたまらなくうれしいんだよ。 あたしが暗部に入ることを拒んだときとか、襲われそうになったときに庇ってくれたときとか、すごくすごく胸がきゅう、っとなったよ。 きみのお父さんと同じ色のきれいな金髪とか、海よりも深く澄んでそうな蒼い瞳とか、たまに見せる小さな優しさとか、 本当はさみしがりなところとか、ぜんぶぜんぶ含めてきみが大好きなんだよ。 自分がきみのなかのほんの一部にでもなれればそれで充分しあわせなんです。 さて、まだいっぱいいっぱい伝えたいことはあるのだけれどもうお別れみたいだよ。 もうきみの声もよく聞こえないんだ。 それにしても最後にきみを助けて死ぬことができるなんてあたしはなんて幸せ者なんだろうね。 ああ、いま頬にあたったのは雨かな。それとも涙? ナルト。ナルト泣かないで。泣かないで。 大好きだから、最後はきみの笑った顔を見ていたいんだ。
あ、
さいごにひとつ、いいですか?

















(08.03.20)